言時雨/霜天
絶える昨夜が静かに終わって
それでも、紡ぐ言葉が見つからない
明日の羽音がまだ見えるのは
踏み込む足が力強い、から
ほら、世界はこんなふうに明るい
ドアが開くと、大勢の人が流れていく
カーテンを閉めた窓の中で、誰かに祈る
人は消えていきます、それから戻ってきます
ドアは閉まりゆっくりと、次第に、速く
流れていく人の分だけ、この空には降るものが多くなる
言葉は
時雨れます
それは夜の上にも、等しく
優しい人にも悲しい人にも弱い人、にも等しく
信頼する背中は、抱締めてくれますか
降る夜、に
朝には、すべてが落ち着いて
積もりすぎた部屋には、捨ててしまいたいものばかりが
カーテンを開け、大勢の人が帰っていくのを
見送る、窓には
静かなことを嬉しく思い
それから消えていきます
窓の外
消えていきます
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