山里の女/杉菜 晃
山里深く
美しい女が独り
淋しく庵を結んでいるとの噂を聞きつけ
伊達男や
誇り高い益荒男どもが
我こそはと
鼻孔をうごめかせつつ尋ねて行ったが
その度に女は
こんなときを想定して訓練してある
蜜蜂の軍団を解き放ったので
その先へと
詰めて行くことは出来なかった
容赦ない蜜蜂の攻撃に
頭を抱えて川に飛込んだものや
刺された顔が三倍に脹れ上がり
激痛を堪えきれずに
掻き毟ったため
二度と見られぬ顔になった者もあった
女の庵は
聖域として
人界から切り離され
はるけく色香のみ
棚引く所となっていった
女はローヤルゼリーの
効験も
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