列島の鵜/
杉菜 晃
巌に一列に並んで
暮れなずむ彼方に見入つてゐる鵜よ
さうしてゐれば
見えなくなつていくものが
現れてくるとでもいふやうに
水平線を見据える鵜よ
こんなにもひしひしと迫りくる
暗黒に身を沈めてゐながら
果たして黎明はやつてくるのだらうか
愚直なる鵜よ
けなげに待てば
それでいいといふものではあるまい
ある厳粛な秩序を踏まへないでは
聞かれない
祈りといふものもあらうに
ああ 暗愚なる列島の鵜
身に余る哀しみに身悶える鵜よ
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