独りぽっちで咲く花あれども/きりえしふみ
見渡せば沢山の木々
沢山の丘を越えた その先の先
沢山の花が咲く 沢山の野辺がありました
昔はそこで わんわん子供らが
泣いて 笑って その傍らに
とりどりの花ゞが 楽しげに
風に歌って そよいでいました
くしゃみ顔のおじさんも よれよれのおばさんも
一癖あっても みんながみんな
それはそれは綺麗で 粋な花でした
もしも もしも わたしが花の種ならば
彼等を焦がれて 芽を出しました
日が隠れても尚 日向の方へと
泣きながら がむしゃらに
根を張りました 伸びて行きました
けれどもわたしが ほんの小さな芽を出したとき
焦がれた花ゞ、皆 うなだれて
綺麗な
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