詩/
河野宏子
わたしは一遍の詩
およそ80年かかって朗読される
妻でもなく
母でもなく
女ですらなく
眠って起きて紡がれる一遍の詩
残念です
あなたの耳に届くのは
この美しい詩のほんの一部分
残念です
わたしだけが
このすべてを味わうことができる
こんにちは
さようなら
わたしは一遍の詩
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