『星座のアドレス』/橘のの
夜
目が覚めて
眠れなくなって
空なんて見上げると
そこに
星があるのです
トボトボとか弱く
消えそうな星が
あるのです
わたしは
自分のコトなど棚に上げ
その星がかわいそうに
なったので
メールを差し上げることにしました
星座をあしらったアドレス
を入力し
ささやかな言葉を
したため
ケータイ電話を星にかざして
優しく
送信ボタンを押しました
*
するとどういうわけか
となりの星が輝きはじめたのです
そして
あの消え入りそうな星はよけい見えなくなってしまいました
わたしは肩を落とし
あぁきっと
アドレスをまちがえてしまったのだと、悔やみきれず泣きました
朝
目が覚めて
あわててケータイ電話を
ひらくと
送信履歴に星座のアドレス
などはどこにもなく
あれは夢だったのだなぁとわかりました
そしてもう少しだけ
泣いたのです
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