無/
桐野晴
儚くて
脆い物だって
わかっているのに
それでも
手に入れた瞬間は
満たされて
幸せ
耐えられなくなった瞬間に
全てが壊れてしまいそうで
悟ってしまった瞬間に
もう
後戻りは出来なくて
ただただ
同じように流れる
崩れていく
確かな
刻の中で
遙かな幸せと
消え崩れ去るための無を
どこかで望んでいるのかも知れない
壊すなら
なくなるまで壊して欲しい
幸という快楽か
死という快楽か
戻る
編
削
Point
(1)