手を見ている/銀猫
 
指環をつけようとして
指を眺めたら
関節がすっかり変形した
人差し指と
中指と
薬指とが並んでいる

少しばっかり
痛々しくもあるそれは
持てる以上の力と知らず
がむしゃらに使ったせいだろう

マニキュアを塗ろう、と爪に囁くときも
誰かを包むときも
この曲がった指がこっちを見る

けれど
何も持たぬままに
歴史を塗り替えながら
きっと少しずつ指先は曲がったのだ

それは
勲章なのかも知れない、と慰めても
いずれ不恰好な生き方に
とても似合いの両の指

時々酷く痛んでは
がむしゃら加減を教えてくれる
わたしの
手、

手を見ていると


戻る   Point(13)