手を見ている/銀猫
指環をつけようとして
指を眺めたら
関節がすっかり変形した
人差し指と
中指と
薬指とが並んでいる
少しばっかり
痛々しくもあるそれは
持てる以上の力と知らず
がむしゃらに使ったせいだろう
マニキュアを塗ろう、と爪に囁くときも
誰かを包むときも
この曲がった指がこっちを見る
けれど
何も持たぬままに
歴史を塗り替えながら
きっと少しずつ指先は曲がったのだ
それは
勲章なのかも知れない、と慰めても
いずれ不恰好な生き方に
とても似合いの両の指
時々酷く痛んでは
がむしゃら加減を教えてくれる
わたしの
手、
手を見ていると
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