海を連れて帰る/LEO
 

曇った空の下では
海も鈍い色をしていた
打ち寄せる波の先だけは白く
足元に届けられて

よーく目を凝らして見てごらん
水平線が弧を描いている
停留しているタンカーが遥か沖のほうで
小船のように小さいのを見届けたら

夏のような、秋のような、
どちらでも不都合はないけれど
陽射しが波間にきらきら踊って
気づけば空は晴れ模様
みるみる海は染まる、青

もう秋
と、思ったのは間違いだったのかもしれない
少なくとも、この日この場所は

焼けた肌
砂の残る足元
潮の香りを
サイドシートに乗せて帰る

海へ行きたいという願望と
炎天下は苦手という理由から
真夏を避けたはずの
夏の終りの
秋の初めの


家まで続く道には
ススキの穂が揺れている
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