舞う風/霜天
砂糖が乾いていく
あるいは溶けていく
運ばれていく
最初からそこにはなかった
かもしれない
舞う風、の風上
私はただ口を開けて
私の中を乾かすことを止めようとしない
追い掛けることをしなくなったのは
いつのこと、だっただろう
遠い日の短い夕暮れ
あるいは長い影
この手から
すり抜けていくものこそが
古い友達
高い高い塀の上から
繰り返し繰り返し、飛び降りる
ただ、遠くへ行きたかった
飛べる、なんて
思ってもみなかった
砂糖が飛んでいく
あるいは離れていく
あの甘い、解放
舞う風、のありふれた感触
私はそこに触れながら
私の中が乾くのを待っている
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