「弱アルカリ性のあなたへ」/ベンジャミン
 


世の中が
あんまり酸性雨だとか騒ぐので
雨が降るたびに身体が溶けてしまいそうな
そんな不安に怯えている

あなたは
自分の弱さが何であるのかを
知りたいようでいて本当は知りたくない
きっと誰もが抱えている

同じような
それらが違っていたらどうしようかと
ときおり自分の分身を作り出しては
自問自答する

弱アルカリ性のあなたは
まるで石鹸の泡粒みたいに儚い命を

弱アルカリ性のあなたは
まるで消え入りそうな叫びの中に

弱アルカリ性のあなたは
そして何処へ向けるでもないやるせなさを

弱アルカリ性のあなたは
そして静かに眠れる日を夢見て

世の中が
あんまり酸性雨だとか騒ぐので
雨が降るたびに自分が消えてしまいそうで
一緒になって泣きたくなる

あなたは
冷たい世間の荒波に
吹き上げられる泡沫の一つではないのに

弱アルカリ性のあなたは
自分の弱さよりも本当は

何かを変える可能性を
信じたいと願っているのに


       
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