生唾ライフ/カンチェルスキス
目を使われて困ってる。お年寄りだと婆あと言ってしまいたくなるところだが、どう考えても女の目つきなのだ。押し車でゆっくり近づいてきておれの顔を2センチぐらいの距離で見る、肩に手をやっておれの肩を溶かそうとする、しゃがんで、と言っておれの耳元で一緒に死にましょうあるいはあべカワ餅を食べないやとささやいてくる。どれをどうとっても女特有の塩まじりナメクジ光線に満ちてて、老いてもなお盛んという言葉を思い出してしまうほどだ。実際に、戦没者慰霊碑がある公園墓地の片隅で何とかしちゃって警察沙汰、ど変態の烙印を押されるようなことはしない。生唾でいいんだ。この前だってそうだ。歩行者信号の青をスペードの黒に塗り替えてた
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