無題/桐野晴
 
全ての物が見えなくなったとき
何が出来るだろうか
日々その積み重ねが幸せだと
初めて気づくだろう

何も出来ないことで思い知る
自分の無力さを
存在している実感さえも
なくなってしまった

臆病で
傲慢なイキモノ
優しくて
綺麗なイツワリ

隠すことでしか生きられず
ボロボロになった愛
静かに満ちていく
仮想とココロ

遠い遠いあの日のままに
ただ待ち続けていた
終わるはずのない
現実とイタミ


気づいたときには無くしている
曖昧でしかない
運命の理の中では
既に終わっている

全ての縛りと日常の中
意味のない無限と
極限の中の
叫びとイカリ


とけ込んだ
奇妙なタマシイ
染みついた
不自然なシアワセ
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