/壱木
 
あなたがいくら私のことを好きといってくれたとして、
愛してるといってくれたとして
どんなものからだってきっと
まもってみせるといってくれたとして
その額にやさしくキスをしてくれたあと
誓いのゆびわをくすりゆびにそっと
はめてくれたとしても、

私が電車のドアに左の小指を挟まれて
ぎゃあと悲鳴をあげたとき
あなたは傍に居ない、わけで
私はひとり虚しく
駅員さんが走りよってくるのを
じっと視界に留めつつ
待ってにゃならんだろうということ。
そういう、現実。

ああ、こんにゃろう
愛の力ってなんだ
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