ひとたびの眠り/
夕凪ここあ
目が覚めると
必ず何か足りないものがある気がして
一呼吸置いてから窓を開ける
抜け落ちてしまったような
最初からなかったような
秋の始まりに吹く風が
季節に置いてけぼりにされた風鈴を鳴らし
消えてしまいそうな危な気な音色が
透明な余韻を残したまま
微かに部屋を揺らしている
軽く喉が渇いたまま
晴れ渡る空を見上げても私の空は
何処も彼処も
空虚ばかりで埋め尽くされている
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