「夕方の空には、今日が眠っている」/ベンジャミン
 


夕方の空には、今日が眠っている
そんな気がする

夜に溶けようとする入り口で
わがままな僕はうずくまる

何かを忘れている
そんな気がする

ひとりひとり
今日話したいろいろを思い出すとき
どうしても思い出せないことが
あって悲しい


オレンジ色を横切る鳥の
黒い背中は、まるで欠けた空
流れるように沈む地平線のどこか
忘れてしまった言葉は
眠っているから

「さよなら」と言いかけて
慌てて
「ありがとう」と言い直す

そうすれば
安心して眠れることを

いつの間にか覚えていた


    
   
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