青の書物/まどろむ海月
 





青空の頁に
透明になった夏を
しまい
あなたの残り香を
時の風紋にゆだねる

世界は書物であり
読み飽きるはずもない私が
虚ろに頁を繰る
 わたしはどうしたのだろう
 わたしを あのひとを

 豊穣の季節はやがて
 君の指を染め
 胸を眼を 発光させ
 次々と彩り移っていくだろう
 そして
 いつかあの人も
 空しく透きとおっていく

 何もしなかったという
 わたしの罪も いつか
 むなしくなっていくだろうか


すべてが透きとおっていく
この書物の中で
青だけは
かなしみのように
消えない





    







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