深淵/快晴
のっぺりとした日常に
私は何のビジョンも描けないまま
とりあえず今日の仕事を片付ける
意味など求めるのは野暮なこと
仕事帰りは1人家路を辿る
どこにも寄り道もしないまま
寝倉を目指して電車に揺られる
希望の無い顔が今日も溢れて
深夜にやることはお決まりの
自己嫌悪という名の一人舞台
喜劇と悲劇が入り混じって
混濁した闇がただ広がる
そして枕に顔を埋ずめて
もう目覚めたくないと祈るのだ
明日が来ることは自明の理
虚空を彷徨う腕は誰の物
朝日に照らし出された顔は
虚無を鏡に映したままで
その後ろには知らん顔の今日が
ただ漠然と広がっていた
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