『アボカド、な午後』/川村 透
に視線を落し広告の裏、まさにその
とんがった鉛と、獰猛なマニキュアの指先に意識を移した一瞬、
彼女は、それを、に・く・し・み、−憎しみ−
と、読んでいた。
ずきん、と肩で反応する彼女の
プリミティブでアボカドな午後
新聞紙上を賑わせる、みたいに、立体的でアブストラクトに喰べ散らかされたアボカド
その果肉模様、な、象形文字を、口に運ぶのも忘れて
TVはデタラメな鳥のコトバをさえずり彼女のメガネは微妙にずり落ちて照準をずらし
ブレイクをカウントするもうひとつの指は銃爪を求めてテーブル上をさまよい、
彼女とコーヒーカップとの安らかな、再会、には、
ほんの少しまだ何かが、−君
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