『アボカド、な午後』/川村 透
昼下がり、
アボカドを喰べながら新聞をナナメ読み
焦げ臭いコーヒーカップの居場所をくんくんくん、鼻と指で探りながらその上
つけっぱなしのTVにぼんやり耳を奪われたまま
彼女は広告の裏に、いたずら書きを始める。
ドラマ、ニュース、CM、それともワイドショー、あるいはコラム、
三面記事、社説、読者のページ、どこ、から届いたのか、わからないが
彼女のもうひとつの指と鉛筆は、そのコトバをそのココロでぼんやりとなぞっていて、
いつのまにか一筆書きの絵のように、に・く・し・ん、−肉親−
と、書いていた。
なにげなく数秒の空白がカウントされてから、気まぐれに、ふと
新聞からさらにナナメに視
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