黒揚羽(零の産声のする)/こしごえ
 
 黒揚羽 日に咲く羽音 染めてありし世



         零の



( 、血のうずく
私を見つめる
その目は
黒く透けていて底もなく
ゆらぎもせず
胎内で夢を見ていた予感に
青ざめる
すべての呼吸音へ
告げる果てしない不問)の声が
(私の)耳を透過して
その影へと浸透していき
暗黙の繁みから
素足の風(かざ)落ちて 風音(かざおと)光り



         産声のする



だれもいない
あおぞらのもと
血のうずく
ちいさな裸体
いだかれて風に
声をあげる
原っぱで
零の産声
を数える









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