刃/ふるる
怒ったあなたの瞳に光るもの
稲妻だったらすごい
それはどんなにかすごい
刃のように空を閃かせて
雨に濡れ
雨に驚く人々の顔をくっきりと切り取る
それほどの鋭さで
稲妻は走る
怒りも
あの橋の上で
叫ぼうとした真実は
どうどうと濁流が飲み込んでしまった
飲み込んでどこへ
子供の落とした人形が
浮き沈みしながら流れていった
目で追うけれど
追うけれど
あの時橋の上で
泣いてなどいなかった
ほんとうに泣いたのは子供の時だけ
橋が風に煽られてただ鳴いただけ
鳴いた
鳴いた
鳴いた
川に人形を落としてしまった子は
同じ
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