落書きの中の教科書/ぽえむ君
 
教科書の世界に
自分は入ることができなかった
入口がどこにあるのかわからない

それでもさすがは教科書
わかりやすい標識と信号が
自分を中へ奥へと
自動的にぐんぐんと進ませてくれる

整然と区画された道と
理屈で仕切られた部屋を
次々に一定の間隔で
一方的にどんどんと歩かせてくれる

そんな教科書の世界を
自分の世界に入れることができなかった

義務と権利が葛藤する
やけになって
落書きしたノートに教科書を
入れてみた

教科書はするすると溶け込み
みるみるうちに
混沌とした自分の世界に
落ち着いていった

落書きの中の教科書は
何のまとまりもないけれど
自分の世界に馴染むようになった

落書きの中の教科書は
どこか楽しんでいるようだ
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