君と同じに、死が愛しい/かのこ
どうでもいいのだけれど
死んでくれとお願いされたら死にたくなる
罪を赦されたような、ふしぎに愛しさを覚え
そして、泣きたくなる
独りという存在で
猫になりたい、と漏らすと
だめだよと、君が言ったことを思い出す
猫になれない私を傍に置いていて
私は目を閉じて、そっと
君のいない世界を想像しては
恐怖している
君が
これまでにないくらい悲しそうに震えた声で話した
私が死ぬ夢のこと
泣いて警察官の胸ぐらをつかんで、君は
君は
今夜聞いた電話越しの君の声は
私を優しく突き放す痛々しい
君の香りがないだけで、だめな夜
香水のびんを枕元に置いてどうにか眠るから
お望みどおりだよ
君が死ぬ時はきっとこの腕の中だから
死んでくれと私にお願いしてくれた人
君に逢わせて、逢わせてよ
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