黒頭巾ちゃんがメヌエットを弾いた日/チアーヌ
黒頭巾ちゃんはその日、おうちでピアノを弾いていました。
空は薄ぼんやりとした曇り空で、照明をつけないでいると、おうちの中はまるで霧がかかっているように薄暗いのでした。
でも、黒頭巾ちゃんは、薄曇りの日の、薄暗いおうちの中が好きです。
黒頭巾ちゃんは、古いラヴェルの楽譜を取り出して、ゆっくりと、メヌエットを奏ではじめました。
メヌエットは古い形式の舞曲です。
「ハイドンの名による」メヌエット、と名付けられたこの曲を、黒頭巾ちゃんはとても好きでした。
黒頭巾ちゃんはいつのまにか、吸い込まれるような気持ちで弾いていました。
そして、ゆっくりとゆっくりと弾いていると、いつのまにか、黒頭巾
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