プラットフォームあるいは死待合室/
朽木 裕
「中々、来ませんね」
「そうですね」
「…?お二方、何を待っているので?」
「シですよ」
「シ?」
「死を、待っているのです」
「もう五分も遅れているのだよ」
「一体何をやっているのだか」
怒りを含ませたその口調に私はつい口を開く。
「こちらから向かえば良いのではありませんか?」
あぁ、と得心してホームに降りた男が二人、
今しがた、この世から、消えた。
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