千三百円の刑事ドラマ/ぽえむ君
 
同僚の刑事が撃たれ
必死で犯人を追いかける
署内の刑事たち

寝る間も惜しみ
老いた身体をものともせず
みんなで協力して
ついに犯人を追い詰めた

ぼくはそこでテレビを消した

今日は財布を落としたのだ
千三百円と
有効期限の切れた
ファーストフードの割引券

交番に届けたけれど
書類を書かされて
それっきり

ドラマは何一つとしてない
それでいてあるのは
台本通りの決まった台詞
ごくろうさま

どっちがごくろうさまなのか

誰にもその言葉をかけられないので
とりあえず千三百円に
ごくろうさま

割引券に
お疲れさま
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