夜のセミ/umineko
セミよ
そんなに急ぐな
さっきから
空を見上げてばかりじゃないか
お前の
自慢のその羽は
ただ
アスファルトを掻くばかり
セミよ
今なら見えるだろう
あれが星座だ
私も昔
見上げたことがある
夜の
芝草に寝転んで
大三角を指で追う
遠い
世界の無から無を
ただやみくもに追いかけた
私が
戻れないように
セミよ
お前も戻れない
セミよ
お前が風に戻って
かさかさと
私の夜を揺らすなら
私は
でたらめな歌で
お前の旅を祝福する
なあに
少しだけ
時計の軸が異なるだけだ
お前と
私
何度でも夜を抱き
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