こばと、言葉のアナグラム/小池房枝
 
空を行く
風ほどに軽く満ちていたい
鳥の翼を
ささえ得るほどに

空に吹く
風ほどに軽く満ちていたい
様々な音を
伝え得るほどに

何かあるように見えなくて
それでいい
雲はただ雲という名の現象

可視光も
全て遮らずからっぽのふりで
夜空の光を通そう

熱を吸い
また吐き出してやわらげて
暑さ寒さの運び役もして

繰り返し胸に吸い込まれ
吐き出され
きれいなうちは忘れられてる

空気ほどのあり方
残響ではなくて
未響をたたえたありあまる余白

小鳩という言葉のために
言葉という小鳩のために
そんな在り方
 

戻る   Point(18)