こばと、言葉のアナグラム/小池房枝
空を行く
風ほどに軽く満ちていたい
鳥の翼を
ささえ得るほどに
空に吹く
風ほどに軽く満ちていたい
様々な音を
伝え得るほどに
何かあるように見えなくて
それでいい
雲はただ雲という名の現象
可視光も
全て遮らずからっぽのふりで
夜空の光を通そう
熱を吸い
また吐き出してやわらげて
暑さ寒さの運び役もして
繰り返し胸に吸い込まれ
吐き出され
きれいなうちは忘れられてる
空気ほどのあり方
残響ではなくて
未響をたたえたありあまる余白
小鳩という言葉のために
言葉という小鳩のために
そんな在り方
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