透明な箱/ふるる
生まれながらにして入れられた
透明な箱
透明なので見えない
けれど箱
外には出られない
不思議なことに
透明な箱は手の中にあると錯覚される
錯覚されたまま
自在に扱っていると思われる
思われたまま
それで愛し合ったり傷つけあったりする
透明な箱は手の中にはあらず
誰もその外に出られない
不思議なことに
透明な箱があることに気づく者がいる
そこに閉じ込められていることに
その外の世界が気になる
決して行けはしないけれど
透明な箱に気づいた者は
その外に目を凝らす
目を凝らしても何も見えないが
外があることは分かる
外のこと
そのことを
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