夏の晩年/
シホ
切迫した最期の
夏の到来は
記憶の中でぶよぶよしつつあって
ゆっくり弛緩しつづける
こよりみたい
つづく夏を重ねるたび
もはや静止でも
昂ぶりでもなく
無為のまま指先にふれてる緊迫の糸
無意にさぐる指先で
ほぐすこよりみたい
あの夏からすべての時間
来ぬ
すべての時間
脂汗と共にぶよぶよしつつあの夏の熱
切迫してなお
終わらぬ夏の
捻じ押出されるこよりみたいな
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