星幸一論/狸亭
 
―夢々語るまいぞ 天下のことは
   しばし女房の膝枕― 98・7・3 星幸一

薄暗いカラオケクラブの片隅に陣取って
五十六歳役職定年を迎える星がいて
箸袋の裏側に書き綴った辞世の戯れ歌。

いつものように五,六人が取り巻いた。
威勢のいいやくざっぽい演歌をやっている。
いままでの確固とした姿勢がいつしか崩れている。

こっそり手渡された紙切れの端整な文字を追いながら
星にしてはなかなか良く出来た歌だと褒めたら
恥ずかしそうに瞳の中がゆらりと揺れた。

カイシャのホシ
コーウンのホシ
ナンバーワン ハッピー スター

真性会津生まれが自慢のダンデーな
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