血の匂い/水在らあらあ
 
人きりだ

 こんな朝日にうたれて
 死ねるもんなら
 死んじまってもいいが
 おまえが見つけた木の実が

 あんまりきらきらしてるし しかも
 おまえの白いドレスはもうぜんぜん白くないし
 それ洗濯すんのどうせ俺だし
 種をなるべく遠くに

 朝日の中に
 飛ばそうとしているおまえの
 匂いがもう一度ほしくなって
 じゃあ勝負しようぜ

 それじゃあ負けたほうが言うこときくのね
 望むとこだぜおい
 で
 負けて


 おまえの匂い
 血の
 匂い
 その中で

 その只中で
 立ち止まって
 目を閉じて
 



    ―― 虫も動物も
       鳥も魚も
       木々も草花も
  
       知らなくていい












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