血の匂い/水在らあらあ
人きりだ
こんな朝日にうたれて
死ねるもんなら
死んじまってもいいが
おまえが見つけた木の実が
あんまりきらきらしてるし しかも
おまえの白いドレスはもうぜんぜん白くないし
それ洗濯すんのどうせ俺だし
種をなるべく遠くに
朝日の中に
飛ばそうとしているおまえの
匂いがもう一度ほしくなって
じゃあ勝負しようぜ
それじゃあ負けたほうが言うこときくのね
望むとこだぜおい
で
負けて
おまえの匂い
血の
匂い
その中で
その只中で
立ち止まって
目を閉じて
―― 虫も動物も
鳥も魚も
木々も草花も
知らなくていい
戻る 編 削 Point(34)