空虚/樹々
 
悲しみも喜びも 苦しみも楽しさも
 すべての感情は ただ私の上を通り過ぎてゆくだけ

なけなしの心はすべて あの人に預けてしまっているから
 けれど あの人は それ に言葉の嵐を刻み付けるだけ刻み付けて
軽やかに手の届かない所へ立ち去っていってしまった

だから私には 何も 無い
 命を止めない身体を引きずって 極彩色の世界の中を漂うだけ
 

 
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