破片/岡部淳太郎
 
      ――Sに



ばらばらにされる
    (君のせいで)
        俺が歩く その先々で
俺は自らの破片をばら撒いてゆく
    路上に
        天井に
            水上に
    ばら
        ばら と
            ばら撒いて ゆく

それは 言葉のかたちをしている
    または
    血の塊 醜悪な肉片
        あるいはただの 千切れた草

ばらばらにされる
    (君のせいで)
俺は不完全な無数の破片
君は完全なひとつの実体
    夜の声帯をふるわせて
        
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