俺たちとは呼べない俺と君/岡部淳太郎
 
景は俺の感情をのみこんで
止まっている!
俺たちと
けっして呼んではならない 俺と君
なぜなら君は独立していて
俺は見事なまでにひとりなのだから
家に帰り
君のために心をばらばらにすると
その破片のひとつひとつを手にとってたしかめる
そしてそれらを両手に抱えて
俺は眠りこむ
心を失くしてみれば
星も月もなきがごとしだ
俺は水平に置かれた額縁の中に納まり
ひとつの静物となる
(だが 誰が描くものか)
また明日になれば
外に出て
ばらばらになった心を
君のために元通り縫合しなければならないのだ



(二〇〇六年六月)
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