生き方/
 
まだ明け切らない静けさが、寝苦しかった空気を風に乗せる
この町の朝は早い、大きな篭を天秤状に担いだ女性が傍らを通り過ぎる
現地語の上手く話せない僕は、取繕った笑顔で「おはよう」と呟いた
彼女たちの褐色の腕には、次第に射し始める陽が当たって

それは、それは 白く滴るように
歩幅に揺れている、肌
僕の視線は、それを追いかけて落下する
コンタクトレンズを探している、裸眼は見えないものを見つめて

色彩に立ち並ぶ木々は、その、南国を思わせる葉先を陽に透かして
漏れてくるのは動き出す街並の音、バイクの排気ガスが鼻腔を掠める
行き交う人々は、誰しもが僕に笑顔を提供してくれる
空には
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