盆栽がきらいだった/逢坂桜
「はぁ・・・」
「盆栽というのは、あれはつまり、己(おのれ)をこの世に遺(のこ)そうとする執念なのだな。妙にクセをつけたり、枝を曲げてみせたりというのは、すべて自己主張にほかならない」
「なるほど」
思わず眼をみはった。
そうだったのか、と。
合点がいった。
かといって、そう簡単に盆栽への嫌悪がなくなったわけではないが、
見る眼が変わったのは事実だ。
何年か前、菊花展と盆栽展を見に行った。
距離をおいて、さぞつまらなそうな顔をしていたことだろう。
今年は行ってみようか。
きっと、違う眼で見ることができるだろうから。
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