透明な筆箱/
プル式
透明な筆箱につめた夢は
いつも僕のポケットに入っていた
どこへでも持って行ったし
どこででも開く事が出来た
だのにいつの間に
筆箱を使わない年齢になったんだろう
気が付くと筆箱はどこにも無くて
僕はふいに不安でいっぱいになって
僕の持っていた筆箱はもう
その色も形もにおいも質感も
思い出せない
僕は
僕はまた筆箱を買いに行く
それはもうあの頃の筆箱では
無いのだけれど
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