死体観=廃墟観についての考察/朽木 裕
唐突のようではあるが私の中に歴然としてある、死体観及び廃墟観について述べたいと思う。死体観などと云う言葉はないけれど、詰まり「私にとって死体とは何か」を今ここに記したいのである。
死体は、死んでいながらそこに在ると云う非常に不可思議な物体である。死ぬ、と一概に云うと親しくしていたその人が居なくなってしまう、そう思い人は哀しむのだろうが死体と云うのは何か哀しみとは違う所にあるような気がしてならない。勿論そう言い切れる筈もない程「死」とは深遠であるのだが。
死んでいるが存在している。存在はしているが「それ」は死んでいる。ここにアンバランスさが生じる。考えてみれば非常な違和感である。死んだ身
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