詩人の葬式/馬野ミキ
 
らた財布
路地裏には詩が溢れている
そして誰もが目をそむける
立ちんぼは目一杯に着飾る
皆世界一綺麗だ

レセプション会場では健常者たちが
名刺を交換したりしながら
ノストラダムスの預言についてだとか、誰と誰が離婚したかだとか
或いは現代詩の展望についてだとか
兎に角唇に泡を貯めてくっちゃべっている
彼らの歯と歯の隙間には誰しも平等に、よだれで包まれた肉やチーズのカスが詰まっている
そして今宵もまた新しい恋が生まれる
ロミオとジュリエットたち つまり、肉やカスの恋が。
ふり注ぐ星と、祝福しておくれ
やっとこの星とオサラバできるんだ、
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