ポエティック・メランコリー・シンドローム/岡部淳太郎
 
ていることを
鈍い頭で思いながら
私はひとつの出来損ないの詩
そのものとなる

だが

声のない
声にならない
感情を垂直に上らせようとする者は
いまもここで
金網に指を這わせながら
黙ったままでいる



ポエティック・メランコリー・シンドローム
  ふたたび あなたのせいで
    私は眼を開かされる
    (やはりこの世界もまた)
    (ひとつの出来損ないの詩に過ぎないと)




ひとつの恋情が夢の中で合唱する
明日もまた私は
あなたのために衰えてゆくのだ



(二〇〇六年六月)
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