蝉の日/こしごえ
 
空虚な腹部で
命と鳴いている
今日は夏だ
われんばかりの空だ
あぁ、こぼれてゆく

大地の精霊を
宿す
からだは
青空のもとで響く
首すじに光る雫を
ハンカチーフにすっと吸わせる
わたしは蝉時雨を
じっと見つめて
半音「あっ」
と宙に浮いた影の形が
静止しながら鳴り続けて
くちびるのすき間から
、こぼれてゆく
(ただいま

無影灯で照らされた
わたし、の腹部は
炭酸水のように透明で
異形に空っぽ
夏ではない日でも
思い出して下されば幸いです
木霊する日に








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