細い煙は白髪のようで/Keico
蚊取り線香の匂いは嫌じゃない
赤い先からあがる白っぽい糸
もうここには無い白髪頭を思い出させる
分厚い本はなんでも友達だった
謎解きを私にさせて
ご褒美のアイスはいつも私のためにあった
いつのまにか
細かった腕はもっと細く白くなって
私は体中の水分を出し切って
灰と一緒に空へ放った
網戸越しにゆっくりと煙がのぼり
深い皺をもっとくしゃくしゃにして
私の帰りを喜んだ
涙と一緒に飛んでいった人
網戸の向こうの笑顔
渦を巻いて漂う匂いが記憶を引っ張り出して
汗でべたつく頬が
また少し塩辛い湿り気を
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