影の世界より デッサン/前田ふむふむ
白く湧き出る夜霧が彩色の光度を埋める、
途切れた余白だけが、
寂しく横たわり、わたしを乗せている。
染め急ぐ硬いみちが流れるなかで、
滑るように乳白の色をやわらかく溶かして、
わたしは、あたらしい地平を薄暗い瞼に誘う。
なみなみと湿潤な呼吸が、時の始まりを告げて、
まろやかな夜露の声をはこび、
遠くに佇む街路灯の冷たさが、寡黙に顔をあげる。
夜霧の純白を固めて匂う、倒れて煙る意志の時代が燃えて、――
ときより、待ちきれずに苛立つ熱が、
仮面をかけた暗闇を隠して、
背後から強いひかりを泳がす。
戯れる四人の若い女は、眩いひかりを享けとめて、
墨色の影を幾度
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