ミクシィ/大覚アキラ
そういう凶暴さが
キーボードを叩き壊す勢いで
打ち込むテキストの断片
ここは砦
ここはシェルター
ここは子宮
ここはミクシィ
そう
ここはミクシィ
愛しい恋人の名前と同じぐらいの強さで
おれたちをモニターに縛りつける呪文
ミクシィ
日曜日の憂鬱を
能天気な鼻歌でうやむやにしながら
指先でステップを踏むキーボードの上
少しばかりかっこよく言うならば
もはや絶命寸前のレガシーデバイス
その上を
得体の知れない幽霊のようなものが
灰色の余韻をたなびかせながら
透き通った空気の塊になって
おれの指先をそっと包み込んでいる
まるで親
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