おつきみ/水居佑梨
暮れた空の上に
団子がお着替え
始まりを告げる
ぺったん とったん
きづちで打つ頬のかけらが
月明かりに照らされて
くっつくのは
雲の切れ端と少女であり
のぞく合間から差す
灯りだけがはぜて
ヤケドしそうな罫線に
一瞬 触れそうになった
ぺったん とったん
螺旋をのぼる
一人分の隙間は
暗黙のカーテンでうずめてみたり
数え唄うたってみても
残るのはただただ断片
いち に さん
飛ぶことを忘れてしまったのは
重力に忘れ物をしてしまったからなのか
満月を見上げる少女の
長く伸びたその耳を
ススキがそっと撫でていった
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