にびいろのゆめ/バーバ子
にびいろのうまにまた
がりしがみついてたて
髪をほどく風になるふたり、昔より
さしだされつづけた無量数
のひとの手に、刻まれた誦誦をきき草花の
波のうえに踊りひかり
照らされた
貝のような過去を思う。きこえない
声から声へと
にびいろのうまに股
がってしがみついて絹糸のよう
なたて髪は
金波羅華を駆けるのだなみだ
拭け
振り返ることなく残した
人と人とのあいだのものばかり静か
な声
大声
浜辺の島
巻きつく太陽
本当は
触れてほしかったのだ
腕のその腕らしさ、ふたりをむすんでいたのはそれだけで
この頼りない腕の太さに逃げ場はない。
ただ一点の
ひとつのものものがああ
素晴らしい野菜をがぶ飲みしたい
輪ゴムのように
のびちぢみしたい草はらで
一個の破裂となるひとりは
湿った肺をしずかにふくらませている
背中のボキボキを抱えて
今日も身を畳むようにして
起きてまた
蒲団をまろめる
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