我慢/あおば
 
する

やせ我慢をしたままの電車は
新宿駅に滑り込み
ガラガラになってから
元居たところに戻ってゆく

抽象も
比喩も
修飾性に欠ける室内は
明るすぎるほど明るくて
殺人鬼が隠れるには
もってこいの明るさで
やい、いい加減に白状したらどうなのだ
お前の仕業だと言うことは、端から分かっているのだ
という罵声も飛び交っているような気がして
少し落ち着かないが
次の駅で降りるつもりなので
じっと我慢している。

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